0.無名の都市伝説

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あの死んだ日に来ていた服装… 右手には…斧…で、俺を…見ている… 何かを呟いている… いっ…に…こう 一…しょ…いこう… 一緒に逝こう!! その人が斧を振り上げる!! 逃げろと心が訴えるのに…体が動かない… 死ぬ…俺は死ぬ!!! 俺の頭に…彼女との思い出が…流れる… 出会い… 勘違い… 喧嘩… 仲直り… 最後の電話… 最初で最後のデート… 俺は、優しく微笑み、その斧を抱きしめるように… 両手を広げる… 大好きだよ… そう呟きながら… 俺は…斧を振り下ろす彼女を見た… その顔は…泣きながら… 笑っていた… 俺の頭に斧がめり込む… 意識が暗くなる… 俺は彼女に連れて逝かれるのか? もし本当に、そうなら… それはなんて、素晴らしい事なんだろう… もう俺たちは、離れる事のない存在になれるのだから… だけど、そんなことを考えていた俺の耳に聞こえたのは… あまりにも残酷な一言だった …私を忘れて…生きてよ… 私は、貴方の思い出を連れて逝きます… 嫌だ…忘れたくない!! 俺は…何かを掴もうと…手を伸ばした… 眼が覚めると、そこは病院だった… どうやら俺は、鉄橋で足を滑らせ、車道に出てしまい 車に跳ねられたらしい…が、 運転手が、あまり速度をだしてなかったらしく、 俺の傷は軽傷だった。が、頭を強く打ったせいで、検査入院だ。 ただ、おかしいことがあるとすれば、俺の体についていた血だろう… 服に血が付いていたのだが外傷は無し、打撲はあるが、切り傷は無い… 気を失っている間、俺は、何か夢を見ていた気がするが、思い出せない… ただ覚えていることは、あの石の伝説… 彼女の居ない俺が何で知っているんだ? と考えてしまうくらいに、調べた記憶… そして、泣いている誰か知らない人の顔…だけど… その顔は、まるで霧が消えるように薄れていく… そして…霧は消えた…
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