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血の鮮やかで生々しい色、その金臭い匂い、友季の魂を引き千切るような悲鳴に、広志の意識は支配された。
「あーちゃんっ、あーちゃっ――」
「だめだっ! 動かすな友季ちゃんっ!」
「友季っ!」
愛真の身体に取り縋った友季の腕を涼介が掴んで止め、更にその細い肩をレオンが抱きかかえて引きはがす。
「やだっ、あーちゃんがっ。あーちゃんが――」
抗う友季を無理矢理引きずるように歩道に上げ、レオンが暴れる身体をきつく抱いて、どうにか押さえ付けた。
「友季っ、今動かしたらあかんのやっ。友季っ!」
「だって、血がっ……あーちゃん、血がっ」
引きつけを起こしたように呼吸を弾ませ、顔を歪めて同じ言葉を繰り返す友季。
その顔を胸に押し付けて視界を塞ぎ、背中を強くさすり、必死にレオンはなだめる。
「大丈夫や。涼介が手当てしてくれるさかい、友季は俺とおるんや。ええな」
「うっ、んくっ……」
しゃくりあげながら、友季は震えの止まらない手でレオンにしがみつく。
「愛真っ、聞こえるか? 愛真っ」
涼介が声をかけながら、そっと慎重に愛真の様子を窺う。斜め上を向いた顔に耳を寄せると、弱いが規則的な呼吸を感じる。
これならひとまず、肺は無事だろう。
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