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(死ぬ、のか?)
膝が震えた。意識した途端、氷水を浴びせられたように心臓が縮み上がった。
「成矢っ、誰か教師を呼んで来い。広志――」
「おお、ゆき。大雪いぃっ!!」
「ちょっ、広志っ!」
足をもつれさせながら、尋常ではない叫びを上げ駆け出した広志の背中に、成矢がとっさに飛び付く。
「なんしよーとっ。落ち着きぃーっ」
「放せ、放せよっ。大雪ぃっ!」
はがい締めにした成矢の腕を振りほどこうとする様は、まるきり先程までの友季と同じだった。
だが、それを自覚するだけの冷静さが今の広志にはない。
(嘘だろ。俺が、あんなこと訊いたから……追いかけたりしたから……こんな、こんなことになるなんて)
耳元で、うるさいくらいに鼓動が鳴っている。
ざらついた視界の中で、鮮血にまみれた愛真の姿だけがくっきりと見える。
「成矢、そのまましっかり抑えてろっ。くそっ、じいちゃんまだかよ」
焦りを滲ませ悪態を吐く涼介に頷き、成矢が更に強く腕を締め足を踏ん張った。
それでも広志は、前に進もうとあがき続ける。
「あ、いかわ。愛川、ちょっと手伝ってくれ。愛川っ」
女が大嫌いな成矢がこだわりを捨て助けを求めるが、優依は硬直したまま青ざめた顔で、ひたすら愛真を凝視している。
「大雪っ――」
愛真が校舎を飛び出してから、僅か十分たらず。広志達は皆、悪夢のただなかにいた。
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