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「トーワっ……トーワあぁあっ! あーちゃんが、あーちゃんがっ」
「友季っ。大丈夫だから、落ち着くんだ」
恐慌状態の友季をトーワはしっかりと抱き締め、弟と短く言葉を交わすと、その場から雪達の方へと戻って来る。
幸いにもホームルームの直前だったせいか、他の生徒や教職員は見当たらない。
しかし追っ付け誰かしら、職員がやって来るだろう。
「トーワ、優依をしばらく頼む。これ以上騒ぎが大きくなると、二次災害が起きかねん」
温和な優男に見える外見に似合わず、頼りになる教師の瞳を見つめ、低く囁く。
「分かった。詳しい話は、レオンが後程」
「そうか。優依、友季ちゃんとここにいるんだ。救急車もすぐに来るから。分かったな」
「っ、うん」
涙に濡れた青白い顔を撫でてやると優依は小さく頷き、友季と固く手を繋ぐ。
二人共に立っているのがやっとな風情だが、ひとまずトーワに預け、
「そこの車っ、ハザードを点けて、路肩に寄せろ。そっちもっ!」
人垣越しに中途半端に停車した車へ声を張り上げながら、雪はひとり奮闘する涼介の援助に向かった。
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