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今、詳しい説明が出来るのは、涼介だけだろう。
いくらなんでも、この状態の友季と優依に話を聞くのは、あまりに酷だ。
(最低限の事情は、涼介が救命士に話しただろうから、抜けても支障がない俺が適任だ)
友季達が病院へ行くのは、警察の事情聴取を済ませてからになるだろうが、仕方ない。
むしろ愛真が治療に入ってからの方が、都合がよかった。
「どなたか、付き添いの方はいませんか」
救命士の呼ぶ声に軽く片手を挙げて応じ、
「病院で……」
優依の頭を優しく撫で、生々しい鮮血の匂いが漂う現場を後に、雪は救急車へと乗り込んだ。
救命士の傍らに座った途端に、以前、今は亡き母が運ばれた時の様子を思い出し、雪は微かに眉根を寄せる。
(何度乗っても、いい気はしないな)
目の前には、頭を固定され酸素マスクをつけられても、依然として意識を取り戻さず、血と傷にまみれた凄惨な愛真の姿。
こんな日に限って制服を着ているものだから、ワイシャツは真っ赤に染まり、尚のこと目に痛い。
こんなありさまを、あの二人に見せておけるはずがなかった。
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