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(よかった。本当によかった)
これ以上、愛する者を無惨に失うのは耐えられない。
病に冒され、最期は強い鎮痛剤で朦朧としたまま逝った、芳南を思った。
「秋、ありがとう。これからも愛真を頼む」
「任せろ。愛真の扱いには、慣れているからな」
秋芳は真面目な顔に、いたずらな笑みを含ませながら、真悟と握手を交わし、肩を叩く。
なぜかジャージ姿の涼介や、他の二人もどうしてここにいるのか分からないが、口々に喜びと安堵の言葉を吐いていた。
そんな中、独り広志だけが、硬い表情のまま、青白い顔で佇んでいる。
(こいつ、どういう関係だ? いったい何があったんだ)
真悟の疑問は、昼過ぎになり、ようやく落ち着いた優依と友季の話で、やがて解けたのだが、新たな不安の種を胸に残すこととなった。
(愛真がsnowか訊かれただけで、逃げ出したって? しかも、周りに誰もいなかったのに、突き飛ばされたように見えた?)
嫌な予感がする。
闇に沈む部屋の中で、うずくまる小さな身体。絶え間なく漏れるすすり泣きと、血が滲むまで掻きむしられた細い首。抱き締めても応えは返らず、弱っていく命の灯火。
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