小さな昔話

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「恭介…男がすべき事はなんだと思う?」 そう父に聞かれ少年はウンウンと頭を抱えて悩み込む そんな2人を微笑ましく眺めながら赤ん坊を抱える母 その赤ん坊はついこないだ生まれたばかりの少年の妹 少年は何か思いついたのかハッと瞳を輝かせながら父に答える 「一番になること!」 「うん、それも大事な事だ。だが、もっと大事な事がある?」 「もっと?」 「あぁ」 父は優しく少年の頭を撫でる 少年は恥ずかしかったが父にそうやって頭を撫でられるのが大好きだった 「守る事だ」 「まもること……」 「そう守る事」 「何を?」 「まずは家族を、恭介、お前ももうお兄ちゃんだ。妹のゆかを守ってあげなさい。そんなお前達を守ってる母さんを全てを俺が守ってやるからな」 「うん!」 少年の笑顔に穏やかに目を細めながら父は続ける 「そして心の底から愛した人を守りなさい。人一人守れるもの何てそれ程多くはないけれど、お前が大好きだと思う人達を守ってあげなさい」 「男って守るものが多いんだね」 「あはは、そうだな確かに男には守るものが多い。だけど、お前も色んな人に助けられ支えられ守られてる事を忘れてはいけないよ」 「うん!」 それは少年の小さな思い出 それは少年の小さな約束 それは少年の小さなルール それは少年の小さな誓い
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