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――食堂。 食堂には僕達を除いて六人の客が座っている。 坊主の男性、おばちゃん、チャラチャラしたカップル、太った男性、眼鏡の男性。 この中に犯人がいるに違いない…… 僕は狼のように目を光らせた。 「お決まりでしょうか?」 陽子さんがメモを持って来た。 この人、可愛い顔をしているが中身は大量殺人鬼かもしれない…… そもそも推理小説で美人が出たらそいつが犯人なのだ。 「横川くん、何する?」 そういえば坊主の男性がいたな…… 坊主の男とコートの男は後々変装すると相場が決まっている。 あの男……部屋にカツラを隠しているに違いない。 「横川くん?」 他に怪しいといえば、あのカップルだ。 恋愛のいざこざで殺人に至るケースなど腐るほどある。 女性の方が手を下すことが多いが、男性が手を下さないとも限らない。 「あの……お客様?」 あのおばちゃんはどうだろう? 推理物でおばちゃんといえば捜査に協力するものだ。 いや……刑事物なら別だ。 刑事物でおばちゃんといえば主人公か犯人と決まっている。 「あの……」 眼鏡の男はどうだ? 知的で真面目そうではないか。 ……いや、インテリは珍しい毒物を見るとすぐ使いたがる。 こいつも怪しい……。
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