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「また、話を聞きに来ます」
二人の刑事はそう言って、帰っていった。
「マスター!!」
可奈子がマスターを強く揺さぶると、やっと目を覚ました。
「お店、今日は閉めた方がいいですか?」
眠りながら泣いていたのか、目を赤くしたマスターを見て可奈子は言ったが、
「いや、大丈夫」
マスターは少しよろけながら、カクテルの準備をした。
その時、今日最初の客が来た。
「今日のマスター、どうしたん?」
数時間後、店に来た徳井が可奈子に聞いてきた。
今日来た客は、全員同じ質問をしてきた。
頑張っていたマスターだったが、やはりショックと落ち込みは隠しきれていなかった。
「いえ……その……色々とあって……」
可奈子は他の客と同じく、お茶を濁した。
「ふーん……」
徳井も察してくれたのか、それ以上聞いてこなかった。
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