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呆然としていると、不意に少し離れた所から砂を踏む音がした。
可奈子は音がした方を見た。
「………………え…………」
そこには、既に混乱状態だった可奈子を更に混乱させる存在がいた。
死んだ筈の田村が、立っていた。
暫く、波の音しか聞こえなかった。
何分経っただろうか、今の可奈子には時間の感覚が無かったが、突然田村は可奈子に向かって歩いてきた。
そして、手を伸ばせば触れられる程の距離まで近付いてきた。
可奈子は言葉も発さずにただその様子を見ていた。
「……頼む」
彼は、可奈子に語り掛けてきた。
「あいつを、助けてやってほしい」
悲しそうな目で、田村は言った。
「…………!」
気が付いたら、可奈子は自分の部屋のベッドの上だった。
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