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可奈子は玄関のドアを開けると、一目散にリビングまで走ってテレビをつけた。
テレビからは、先ほど起きた交通事故のニュースが流れていた。
『事故は、レインボーブリッジの上で起こりました。一台の車が前の車にぶつかり、その車がさらに前の車に次々と衝突しました』
レポーターが画面の向こうで話していた。
そのレポーターの背後には黄色いテープがあり、更にその向こうに横転したり壊れたりした車が何台もあり、事故がかなり大きなものである事がうかがえた。
その時、担架が運ばれているのが画面に映った。担架はビニールシートが被せられた状態で、死体を運んでいるのは明らかだった。
運が悪い事に、丁度風が吹いてビニールシートを吹き飛ばしてしまった。
担架の上の血塗れの女性の死体があらわになった。
レポーターと、野次馬らしき人の悲鳴が聞こえた。
直後、黄色いテープを乗り越えて一人の男性が死体に近付いていった。
男性はその死体の知人らしく、警察官に押さえられながら何かを叫んで死体に縋りつこうとしていた。
「……え?マスター!?」
その男性の顔が知っている人である事に気が付いた可奈子は、思わず大声を上げた。
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