一人目

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一時間後、可奈子が店の掃除と明日の支度を終わらせた頃。 「……んー……」 マスターは目を覚ました。 「マスター、大丈夫ですか?」 可奈子が近寄ると、 「……ああ」 マスターは力なく答えた。 「…………あの、もう遅いので、帰りましょう」 可奈子は前よりやつれたマスターに胸を痛めながら言った。 ゆりかもめに乗って、新橋駅まで可奈子とマスターは一緒に帰る。 そこからは可奈子は内回り、マスターは外回りの山手線に乗る。 駅で別れて、可奈子は一人電車の中で考え事をしていた。 どうすればマスターは前のように元気になってくれる? 三ヶ月間、いくら考えても、答えが出ない問題だった。
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