一人目

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マスターがマンションの三階にある自分の部屋のドアを開けると、 「お帰り~」 居候の堀内がリビングから顔を出して手を振ってきた。 堀内は、三ヶ月前の交通事故に巻き込まれたが、奇跡的に無傷で済んだマスターの古い友人だ。 しかし、体の傷は無かったが目の前で何人もの人が死んだショックで一人で外に出る事が出来なくなった上、性格も少し変わってしまった。 元々一人暮らしだったが、そんな状態で一人にするのは危険だと考えたマスターが共に暮らす事を提案し、現在に至る。 「……ただいま」 しかし、そういうマスターも塞ぎ込み続けていて精神的に健康とは言えない。 「大丈夫?凄い疲れた顔してるけど」 堀内も、そんなマスターの様子を心配していた。
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