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楓くんとのツーショット事件から四日。
栗本の言った冗談は嘘ではなくなり、俺の名は学校どころか町全体にまで知れ渡ってしまった。
焼き増し料を取っておけば相当な収入になっただろう。
クラス内で囲まれるような事はもうない。
が、事件後初めて授業のある教師・講師もいる訳で、その度に二度と戻らない貴重な時間は失われていった。
もう一度言おう。授業料を返せ。
そして、放課後。この週二度目の社研の活動。
田崎、浦島の二人は一年生三人の到着を心待ちにしているが、おそらく来ないだろう。それに、来ない方が静かでいい。
いつもの活動はなにをしているのかというと、三年生二人は意味不明な論文、資料、その他諸々をぶつぶつ言いながら読み、
俺は社会などとは関係の無い本を読んでいる。
たまに三年の妙ちくりんな意見を聞かされたりもする。
ところが、俺の読みに反して、一人の一年生が部室のドアを叩いた。
「こんにちはー。」
「よく来てくれた。こちらへ。」
田崎がうやうやしく扉を開け、浦島がエスコートする。
調子にのって、手をとってキスとかしてしまいそうなかんじだ。
そう。やってきたのは例の女子。
この方が物語的にもおもしろいであろう。浦島は彼女を椅子に座らせると、
「君のような気がしていたよ。運命というやつかな。」
誰が来てもそう言っただろう。
「運命ですか…。確かにそうかもしれませんね。」
話を合わせなくてもいいぞ。
「私は高峰友里(タカミネ ユリ)といいます。これからよろしくお願いします。」
と言い、起立・礼した。
背がかなり低い。145ぐらいだろうか。
俺は初めに思った質問をぶつけてみた。
「なんでまた、こんな部に?」
こんなとはなんだと二人が振り向く。
「第一印象ですかね?」
良くないと思うぞ。
「まあ、そんな事はどうでもいい。まずはこの部の活動方針を説明しよう。」
そんなものがあったのか。少なくとも俺は説明されていない。
「この部は授業で習わないことを発見する部だ!答のない問題に自分なりの答を見つけ出して欲しい。」
ふむ、そんな真面目な活動方針があったのか。だったらもっと早く教えろよ。
活動方針を聞き終えた高峰さんは、三年生といくつかの会話を交わし、そして、本を読んでいた俺の前に来て二度目のお辞儀をした。
「あらためてこれからよろしくお願いしますね。」
顔を上げた彼女は俺に向けてウインクをした。
…どういう意味で受けとればいいんだ?
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