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「ただいまぁ~、周助~荷物運ぶの手伝って~」
いつもより帰宅が遅くなってしまった月末の金曜日。
我が家での月末の金曜日は特別な金曜日。
なぜなら、全寮制の中学校に行った裕太が帰ってくる日だから。
この日はお母さんも私もそして周助もいつももより早く帰宅し、裕太の好きな物を沢山作って帰りを待つ。
しかし今日はお母さんも私も仕事が長引いてしまって、いつもより遅い帰宅になってしまった。
それでもやっぱり食べ盛りの可愛い弟たちには美味しいものをたくさん食べて欲しくて、ついついたくさん買い物をしてしまった。
「大変、裕太もう帰ってきてるわ」
玄関にはきっちりと揃えられた2つの靴があった。
小さいのは周助の靴。
大きいのは裕太の靴。
お母さんの靴はまだなかった。
「周助~裕太~」
リビングからはテレビの音が聞こえてきているものの、一向に2人の姿は現れなかった。
「テレビ付けっぱなしで2階にいるのかしら?」
仕方ないので重たい荷物を引きずるようにして家の中に運んで、リビングの扉を開けた。
そこにはテレビの前のソファーに座っている2つの頭が見えた。
「ちょっと、いるのなら手伝ってよ!」
少し大きな声で2人に呼びかける。
でもその2つの頭はピクリとも動かない。
「もしかして…」
荷物をキッチンに置き2人の正面に回ると、すやすやと眠る弟たちの寝顔があった。
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