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「何故――」
問う暇すら与えず、カレルはクロウの右翼を切り落とす。
浮力を失ったクロウは重力に従い落下する。
クロウは忌ま忌ましそうに舌打ちをし、共に落下するカレルに右手を突き出し、100を越える拳大の黒球を放った。
しかし
「バァカ、当たらねえよ」
そんな挑発を放った瞬間、カレルが空中から消えた。
「なっ……!?いったいどこに――」
「わたしを忘れてないかい?」
眼下から聞こえた声に、クロウはハッとしてそちらを向いた。
その瞬間、クロウの体を銃弾の嵐が撃ち抜いた。
それによりバランスを崩したクロウは、背中から地面に衝突する。
「くっ……人間風情が……」
クロウは体中から流れる血に顔を歪めながら起き上がり、カタリナを睨む。
すると、その横にはカレルの姿があった。
「……何をした?」
その問いに、カレルは不敵な笑みを浮かべた。
「バグラムの能力が追尾型の火弾って誰が言ったよ」
「違ったの!?」
クロウより先にカタリナが食いついた。
そんなカタリナに、カレルは苦笑して言う。
「お前が驚くのかよ。
いいか?魔道具の能力ってのは、魔力を消費しねぇもんなんだ。
でも、バグラムの弾は俺の魔力で出来てる。
つまり、能力じゃねぇってことだ」
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