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メシエ国はフェイ高原に広がる森の中にありました。
王の名はジオン。
下々の者からは森の賢者ジオンと呼ばれておりました。彼が愛したフクロウと並び称したのです。
事実、彼には『賢者』と呼ばれるだけの所以がありました。メシエは小さな国でしたが、回りを囲む五つのどの国の王や首領とも生涯に渡って深い友情を育んでおりました。
人々は王の人柄のお陰だと言い、さらに忠誠を新たにするのでした。
そんなジオンから呼び出しがあったのは、私が暇を頂いて諸国を歩き回っていた頃のことでした。使者が訪ねてきた時はメシエの南にある国、イレド国に逗留しておりました。ディヒという山間の町です。
使者は言いました。
「吟遊詩人レヴァノ殿、我が君がお呼びです。すぐに出立の準備を」
使者の男は目を赤く腫らしておりました。その表情は悲しみに暮れ、頬はげっそりとこけ落ちておりました。
「あなたはハーン殿ではないか。どうされたのです?」
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