森の王はかく語る

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 使者のハーンはジオンの近衛副隊長でした。数多の戦で武勲をあげた屈強の戦士でもあります。ハーンは大きな体を震わせて言いました。 「我が君の死期が迫っているのです」 「なんと、何かのご病気か?」  私は尋ねました。  ハーンは目に涙を浮かべました。大きな体も、この時ばかりはひ弱な子供のようでした。 「古傷です。十四年前に受けた矢の毒です。薬草で食い止めておりましたが、お労しいことです。毒は少しずつ王の体を蝕んでいたのです。毒は王の心の臓に達し……」  ハーンはその後を続けることができませんでした。しまいには鉄の塊のような体を震わせ、おいおいと泣き出してしまったのです。 「私がメシエを出ている間にそのような……」  私もまた、体の力がすっかり抜け落ちてしまいました。そしてひどい疲労感を覚えました。  ジオンと私は二十年来の友人でありました。あの優しく微笑む彼の笑顔を失うなど、私はとても信じられませんでした。  
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