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「あー……足が痛い」
あれから、流石に男女同室、というのは抵抗があった為現在1人で羽を伸ばすシア。
ベッドの上で自らのふくらはぎを触りながら、そうぼやくその姿は脱力感溢れるものだった。
先ほどまで身につけていた服は雨に濡れ着心地が悪かった為洗濯し、今は動きやすい型の着物を着ている。
「――あ」
ふと思い立ったように顔を上げるとそのままベッドから降り、自らの雨に濡れた髪に触れる。
「お風呂、入ろうかな。風邪引いちゃうかも」
そう呟きながら、何故先程入らなかったのかと自分自身に問いかけながら脱衣所へと向かった。
そして脱衣所へと足を踏み入れて帯を解き、その着物を脱ごうとした瞬間――グレンの態度の変化の理由に思い当たった。
「――もしかして……!」
目を見開き自らの背に手を触れる。滑らかな肌にある僅かな、しかし長く伸びる膨らみ。
シアは下唇を強く噛みしめ、その目元は険を帯びる。
「これが見えたから……!」
彼女の脳裏に、過去に受けた傷の痛みが鮮明に蘇った。
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