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――……ア……シア……
暗い冥い闇。
自分を呼ぶ声がする。
――また……この夢だ……。
シアが重たい瞼を開けると同時に広がった闇の世界。
――……め……ね……
この悲しく響く声を、私は知っている。
――誰なの……?
――……ごめんね…………シア……――
悲しく響く声。
優しく響く声。
――ああ。何だか、分かったような気がする。
慈しむような優しい声はそれを最後に消え、目の前は再び、前の夢と同じような、眩い光に包まれた。
――あれは……あの声は……
――――お母さん……――
薄く開いた瞼。
翡翠色の瞳から零れた涙が、緩やかに頬へと伝った。
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