Courtesies‐交歓‐

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  剣呑な眼差しでナギを射抜くシア。 グレンも思わず固唾をのむ程の緊張感が部屋に満ちる。 ルイもさすがにその空気を感じたのか、腕を組みその目を細めて2人を見つめていた。 「私は、嫌いです。あなたの作った笑顔」 厳しい表情から出た、凛と響いた言葉。 いや、お前のさっきの表情も思いっきり作り笑顔だっただろう。 などと言おうものなら後が怖いので誰もそこには突っ込もうとしない。 ナギは細くその瞳を覗かせ、無表情にシアを見つめる。視線の先はその翡翠色の瞳。 「……言うね、意外に」 澄んだ翡翠の中に、ほんの少し混じっている悲しい影の色。ナギは目を細める。 対するシアも彼から目を逸らそうとはしない。ただ、彼の瞳からは何も感じ取れなかった。 「貴方は……自分を偽ってる」 不意にシアの表情から険が消え、瞳に哀しげな色が映る。 ナギは軽く目を瞠り、軽く息をつくとゆっくりと両手を上げた。 「……参ったねえ、キミには」 その顔にはまるで『降参』と書いているようだった。 その言葉に糸は切れ、張り詰めていた空気は一気に緩む。 シアはナギに向かって、初めて頬を緩め、口を開いた。 「今の表情(かお)の方が、私は好きですよ、ナギさん」  
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