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シアにとってその申し出は嬉しい物であり、同時に不安な物でもあった。
初めて自分自身に掛けられた嬉しい言葉と、秘密を知られてしまったら去って行ってしまうかもしれないという、恐怖。
「あ、えっと……」
言葉を濁すシアに、グレンは嘆息をつく。
「ま、何はともあれ女が一人旅出来るほどこの世界は安全じゃねーんだ。分かったか?」
「は……はい」
半ば強引な彼の言葉に、シアは首を縦に振らざるを得なかった。
しかしそれに負の感情は無く、ただ彼女の心を温める事に作用したのみだった。
シアは、笑みを浮かべている彼に淡く微笑みかけ、一言呟いた。
「あり、がとう」
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