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四月十七日、標準時十四時二十分―。
花火が上がったのはそれからだった。
雲ひとつない快晴の空はいつもより暑く、夏を思わせる気温だった。
太陽光を直射に受け、着たくもないパイロットスーツの袖を通したルークは顔から滴る汗を拭う。
共和国、ユグドラシルの全4番隊のうち2番隊所属の軍人“ルーク”は20代前半で似合っている顎髭を撫でた。
ただでさえ暑いのに、今日はやけに騒がしい―。
なぜなら今日は共和国ユグドラシルと大帝国FISEの式典なのである。
激しい戦争から50年、同盟を結んだユグドラシルとFISEはこの年月を平和に過ごした。
…と言っても暑いし軍人にとっては喜べない人もいる。
それがこの中年男“ルーク”なのであるが…
『…そろそろ時間だな』
そう呟いたルークは嫌そうな顔をする。
今日の式典の警備にあたっていたルークは暑苦しい声に苛立ちを覚えながらも空を見上げた。
嫌な空だ。
暑すぎる。
これまで気温が高くなることはなかった。
今日は異常過ぎる…
ルークは投げたくなるヘルメットをぐっと握るのだった―。
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