プロローグ

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平和になったからといってそううまく行くわけでもない。 この50年、ろくに進展のない行政府には呆れる。 このところFISEの方が多くの領土を持っている。 その下にユグドラシル、一歩遅れてヨーロッパ連合“EU”と“中華連邦”なのだが―。 何であれ罪のない民間人を怖がらせたりしてはいけない。 だからこうして楽しいイベントを開催しているのだ。 ルークは嫌々にヘルメットを被ってバイザーを閉める。 全長18メートル前後、人型の機械はそこに立っている。 頭部に脚部そして胸部、腰、腕部―。 人間の形をした巨大ロボットである。 その胸部にはそいつを動かすコックピットと呼ばれる運転席みたいなものがあって、そこには俺のように人間が入る必要がある。 この機体はバックパックに四本のレールガンをしょっていて、堂々と二本足で立っていた。 この機体の名称は“インスパイア” 共和国ユグドラシル、ルークの専用機体である。 『こちらインスパイア、ルークだ。警備開始の時刻―。ロイ交代だ』 通信を使って伝えるルークは先程の嫌そうな顔は真剣な眼差しに変わっていた。 『ルーク、警戒体制に入る』 途端、インスパイアのバックパックからブーストという煙を蒸し、その重い機体を浮かせるのだった。image=256279328.jpg
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