プロローグ

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ころん、とヘルメットを地に落とすリンクは緊張に耐え切れず、膝をついた。 『…リンク、大丈夫か?』 短髪で黒髪の17歳の男の子が手を差し延べてやる。 “ガイ・コバヤシ” 彼の名前である。 『うるせぇ、緊張してるだけだ!』 ぱしっ、とガイの手を振り払う。 『……お前はいつもそうだ、普段調子に乗るからだ』 『乗ってねぇよッッ!』 『自覚があるなら実行しろ』 リンクのヘルメットを拾ったガイはそれを彼のもとに置いた。 『少しはイリーナを見習え、リンク』 『イリーナの言い訳癖を見習えってか!?』 そう叫びながら身体を起こすリンク。 その視線の先、額をさらけ出したでこっぱちの女の子が振り向いた。 『だってっ!』 髪を全て後ろにかきあげているが、前髪の一部分だけ垂れている。 中華連邦出身、16歳。 名前は“イリーナ・ニーナ” 『“だってっ!”じゃねー!言い訳するな!でこっぱち!』 『でこっぱちってッッ…酷い…』 『お前がだってだって使うからだ!』 『だってっ!』 止めないか、とガイの声に二人が言い合いを止める。 『これから式典だぞ、俺達がこれでどうする』 『チィ…分かってるよ』 『だって…リンクがでこっぱちって…』 しょぼん。 イリーナのおでこがぴかっと光った。
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