音は聴こえるから

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昼間の街の公園、弾き語りをしている青年。 「誰も聴いてくれないな、やっぱりダメなのかな」 呟く青年。 辺りを見渡すと独りポツンと立つ少女がいる、目が虚ろ。 話し掛ける青年。 「ねぇねぇ聴いてくれてんの?さっきから居るんだけど。」 虚ろな少女が話す。 「私目があまり良くないから音が好きなんだ、だから聴いてます、あなたの音は優しくて好きです。音は聴こえるから・・・」 青年が応える。 「アリガト、誰も聴いてくれないから、嬉しいよ、いつもここで弾いてるからヨロシクね。」 無言で軽く頷く少女。 青年が話す。 「俺の名前は刹那ってゆうんだ、ヨロシクね、ファンなら覚えてね。」 軽く笑顔で聞き入れ話し出す少女。 「私の名前は衣緒って言います。」 弾き語りを始める刹那、衣緒は黙って聴いている。 暫く経ち 弾き語りを終えてギターを終い始める刹那。口を開く。 「今日はもう終わりにするからまた休日に聴きに来てね。」 衣緒が答える。 「この公園好きだからまた聴きにきます。」 刹那は笑顔で頷くと家路についた。 家に着くと刹那は衣緒の事を全く気にする事なく普通に過ごした。 公園、白杖をつきながら家路を急ぐ衣緒、心なしか楽しそう。
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