第一話

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目覚めの悪い朝は今更じゃない きっと僕だけじゃないはずだ。 朝が来ないのかもしれない。 もしかしたら家ごと吹き飛んでて、この世から跡形も無く消えていたら… 毎日そう考えながら眠りについて、そして起きる。 そりゃ、考え方によっては楽かもしれない。 起きたら知らない場所で…… 痛みも感じない、苦しむ事も絶望することもない。 そんな死の世界 でも、自覚してるんだ。 何を目標に生きればいいのかわからない。 何のために明日を待つのかもわからない。 でも、僕らはこの救いようもない荒れ荒んだ世界に…間違いなく依存している。 歯を磨いて、髪の毛を溶かして寝癖を直す。 軽い朝食を済ませて家を出る。 僕のそんな朝の場合は大概学校がある日だ 学校は一時間に一本しか出ないオンボロのバスに一時間揺られた場所にある。 僕はただ車窓の外を眺める。 それ以外にする事がないから 携帯は無い。 持ってる奴は社会に縛られた大人か、高校生なら金持ちの子供くらいか 一世代前までは中学生から当たり前だったらしいけど、 今じゃ資源不足で携帯は疎か、パソコンもミュージックプレイヤーも超高級品だ。 一般人の家に何か一つでもあればその家庭は裕福だ。 でも僕は不便に感じた事はない 物心ついた時にはこんな生活が当たり前だから。 戦争も、それによる国の食物や資材や資産不足も… 今に始まったことじゃないって事 バスがいつもの場所に停車して学校についた。 気だるい身体を動かしてバスを降りる
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