序説

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ハァ...ハァ...ッ!! パンパ―ン!!パラパラパラ... 銃声を後ろに僕はひたすら前を向き、森の獣道から脇に逸れて… 入り組んだ森の中をひた走る わかってるよ…僕は死なない。 数人の足跡が付いてくるけど、少しずつ少なくなって……少しずつ小さくなる やがて森を抜けると同時に足跡も消えた やり過ごした…逃げ切った。そう思った時だった ?「……!!」 ドカッ!! 薄暗い森から太陽の下に抜け出て眩しくて頼りない網膜、 と同時に激しい痛み。 「やっと捕まえたぜ!!」 ?「…っ!!」 衝撃で仰向けに倒れた身体と未だ光に慣れない僕の目の前に、太陽を遮るみたいに覗き込んだニ~三人の影 「取ったものを返せ」 ?「っ!!」 そう言って、力一杯に僕が握っていた皮の袋を取り上げた一人の兵士 「ったく、これだから孤児は厄介なんだよ」 ?「……ヴッ!!」 もう一人の兵士が、僕の顔に唾を吐いて、僕のお腹を踏みつけた 痛みは半端じゃない…… 「そんなに食い物が欲しけりゃ働け!!」 ?「ンガァッ!!」 違うっ!!お腹が空いたわけじゃない! お前等が嫌いなだけだっ!! そんな事を言う力も出ない。 まさに……袋叩き 僕は……此の国が嫌いだ。 此の国の政府が嫌いだ。 なんの関係も無い僕達から、全てを奪うお前等が嫌いなだけだ!! そんな小さな抵抗は……この汚い大人達に軽くあしらわれる 立ち上がれなくなるほど蹴られて殴られて、口の中は血の味しかしない でも、此の国の軍人はバカだから僕を殺さない
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