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レンの手を握ったまま、僕はどうやら眠ってしまっていたようだった
夢と現の中、僕はまた色々と考え込んでいた
そんな中、レンの声にハッと目が覚めた
心「レン…っ。レン!!」
レ「心の声が聞こえました。心はまた自分を責めてました」
心「……レン」
レ「心、お願いがあります」
心「……?」
目が覚めたレンの突然のお願い
それは、いつも通っていた海へ行きたいという事だった
それから先生に無理を頼んで、点滴や呼吸器を外してもらって、僕達は歩き出した
ずっと寝ていたレンの足は覚束なくて
ほんの僅かな距離をゆっくり…ゆっくり歩幅を合わせて歩く
レ「……ずっと眠っていたのに…なんだか全然そんな気がしません」
心「どうしてかな」
レ「きっと、毎日心が話し掛けてくれたから…
眠ってても、ちゃんと聞こえてました」
心「レン…」
繋いだ手は離さない。
ずっと、ずっとこうしたかった
君の手は温かくて、その温もりに僕はこれほどまでに無いほど感謝した
レンは海に着くまでに何度も転びそうになって、その度僕は冷やっとするけど、歩幅を合わせてこうして二人で歩ける事…
それは僕が糧にしていた支えそのものだった
浜辺を歩く、波打ち際を辿る様に残す足跡
振り返ると半歩後ろをゆっくり歩くレンの姿
目が合うと恥ずかしそうに少し俯いて…そんな仕草一つ一つが僕は逐一嬉しくて…
懐かしいけど色鮮やかな瞬間。
やっと…やっと君とまたこうして一緒に歩いて、一緒に話す事が出来る
ずっと…ずっとこうしたかった
―――そう、これが僕の夢。
僕達が描いた――――夢...
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