序説

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「さっさと働け馬鹿共が!!」 雅「って!!」 心「っ!!」 そのくせ、死に物狂いで働く僕は矛盾してる 高校に通えば貰える奨学金じゃ生活出来ないから、僕は必死に働く 殆どのシャッターが閉まった商店街の脇道にあるバーで働く僕。 大人に殴られて馬鹿にされてこき使われる 雅「今日は店長の機嫌最悪…」 心「……客もね」 店長に殴り飛ばされるのにも、客に喧嘩を売られるのにももう慣れたよ… こんな時代に呑気に酒を煽る人なんて、軍人か資産家か気違いくらいだから。 雅「じゃ、また学校でな心」 心「うん。じゃあね」 彼は宮島雅人(ミヤジマ マサヒト) 僕と同じバイトの友達。学校も一緒で一番の親友だ 雅も孤児で、この町に疎開してきたらしいけど、僕よりも先にこの町にいた 僕達は少し世間話をしてそれぞれの帰路に着く 時間は夕方六時半。 暁色の夕日が殺風景な住宅街を切なく照らす このご時世、夜には仕事出来ないから…バイトの時間帯は遅くても夜八時まで 今は当たり前なんだ。 どんなに遅くても十時を過ぎれば店なんてやってない コンビニだって、物心ついた頃には二十四時間じゃないしね。 だから、夜八時を過ぎると外は街灯すら灯らない闇だけ もし夜遅くに出歩けば 軍人に捕まるか、敵国の諜報部員に捕まるか…気違いに出くわすか… 共通点は、誰に出会おうと …殺される。
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