プロローグ

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今年こそは乗り越えてみせるつもりだった。 だから桜の蕾を見たって何も考えないようにしていた。 飲み会にはたいがい参加するくせに、花見だって断ったではないか。 「はあ…やってくれたなぁ」 そう呟きながら、あの悲しくてとても切ない。そしてどこかで見たような表情をする正樹さんを思い出す。 あの顔を僕はよく知っている。だって、あの顔は三年前の僕ではないか。 「はあ…勘弁してくれよ…」 片思いと聞いて思い出さないわけがないじゃないか。 あの子の、瑛菜の笑顔を……
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