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「天文部です~~~」
「天文部、部員募集してますよーっと」
例えお世辞だとしても、センスがいいと言えないような絵が描かれたチラシを配るのがここ一週間の日課となっていた。
モチロン無視されるのが九割でその場でポイ捨てされるのが一割。つまり誰も受け取っていないことになる。
「ああぁ!悟史!誰も取らねーぞ!」
「そりゃそーだろうよ。こんなチラシ…気持ち悪いよ」
そう言いながらまるで汚い物を持つかのようにして人差し指と親指だけでチラシを掴んで腐れ縁ともいえる幼馴染の顔の前に持っていく。
「お、お前な!昨日俺が頑張って描いたんだぞ!?徹夜だぞ、徹夜ぁ!」
「はあ…このチラシを三百枚も印刷してくれたコピー機がかわいそうだよ」
「な?!お前、それは酷くないか?」
「ほら、早くやろう。最低でもあと一人は必要なんだからさ」
「お、おぅ!廃部にゃしねーからな!」
「いや。元々部でもなかったし。同好会。」
「一緒だ!」
「…違うんだけどなぁ」
校門の前でこんなやり取りをしていると、昨年から僕たちを知っている生徒らは「またか」と、呆れた顔をしていたが新入生たちは目を点にさせていた。
まあ、去年の入学式の日とき同じような騒ぎを起こしたとき、両親以外は俺らを見てたっけ。
注目が集まるからかえっていいのかもしれないのだがこれが吉と出ることは多くなかった。…むしろ、出たことがない。
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