362人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
目を覚ますと、目の前に見知らぬ天井が広がっていた。
悠生はまだだるさが残る体を無理矢理起こし辺りを見渡した。
少し古びた和室だった。
さほど広くない部屋は綺麗に片付けられており、それが返って物寂しさを感じさせた。
悠生の体はいつの間にか綺麗に泥が拭き取られ、サッパリとしていた。
よく見れば、悠生は真新しい着物を着せられている。
着慣れていないからであろう。
どこか居心地が悪い。
悠生はどうすればいいか分からず、ただ呆然としていた。
どれほどそうしていただろう。
僅かな足音がしたかと思うと、静かに襖が開けられた。
「何だ。
起きていたのか。
だったら遠慮などせずに人を呼べば良かったのに。」
そう言いながら部屋に入ってきたのは、悠生を助けてくれた男だった。
最初のコメントを投稿しよう!