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「“ゆうき”のお父上は…武士ではないな…百姓なのか?」
「違うよ。
サラリーマンだってば。」
「その“さらりーまん”とは具体的に何をする仕事なんだ?」
「いろいろだよ。
会社で働くんだ。」
「かいしゃ…?」
幸は眉を寄せた。
「何ですか?かいしゃって?」
桂も分からないというように首を横に振った。
「かいしゃとは何をするところだ?」
「お兄さん、会社知らないの?」
悠生は眉を寄せた。
「すまないな。
少々不勉強なんだ。
だから教えてくれないか?」
「会社は……。」
悠生は“会社”という言葉を説明しようとするが、なかなか上手い言葉が出てこない。
悠生にとって、会社は会社であり、そこが何をする場所なのかまでははっきり分かっていなかった。
言葉に詰まった悠生の頭を桂はポンポンと軽く叩いた。
「まぁいい。
何かの組織団体かもしれないしな。
俺もできる限り調べてみよう。
お幸、俺はそろそろ約束の時間だから後はよろしく頼むよ。」
「はい。」
桂は来たときと同じように、静かに出て行った。
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