10/10

362人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
「“ゆうき”のお父上は…武士ではないな…百姓なのか?」 「違うよ。 サラリーマンだってば。」 「その“さらりーまん”とは具体的に何をする仕事なんだ?」 「いろいろだよ。 会社で働くんだ。」 「かいしゃ…?」 幸は眉を寄せた。 「何ですか?かいしゃって?」 桂も分からないというように首を横に振った。 「かいしゃとは何をするところだ?」 「お兄さん、会社知らないの?」 悠生は眉を寄せた。 「すまないな。 少々不勉強なんだ。 だから教えてくれないか?」 「会社は……。」 悠生は“会社”という言葉を説明しようとするが、なかなか上手い言葉が出てこない。 悠生にとって、会社は会社であり、そこが何をする場所なのかまでははっきり分かっていなかった。 言葉に詰まった悠生の頭を桂はポンポンと軽く叩いた。 「まぁいい。 何かの組織団体かもしれないしな。 俺もできる限り調べてみよう。 お幸、俺はそろそろ約束の時間だから後はよろしく頼むよ。」 「はい。」 桂は来たときと同じように、静かに出て行った。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

362人が本棚に入れています
本棚に追加