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湯から上がった悠生は薄暗い廊下を素っ裸で歩いていた。 「お兄さん~。 幸さん~?」 呼んでみるが、返事はない。 悠生の瞳から止まったはずの涙がまた溢れてきた。 「“ゆうき”?」 後ろから声がした。 見ると今さっき通り過ぎた部屋の一つから桂が顔を出している。 「どうしたんだ。 そんな素っ裸で。 せっかく湯に入ったのに湯冷めしてしまうではないか。」 悠生は桂の元までペタペタと走っていき、手に持っていた白い着物を差し出した。 「どうやって着るのか分かんない…。」 桂は目をパチクリさせたが、取り立てて言うことはせず、悠生を部屋に招き入れた。 「あら“ゆうき”君。 ごめんなさい。 早かったのね。 今、桂さんにも替えの着物をお持ちしていたの。」 部屋の中にいた幸が申し訳なさそうに言った。 「お幸、着せてやってくれ。」 「はい。」 幸は手際良く悠生に着物を着せた。
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