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「思うに…“さらりーまん”というのは、エゲレス語なのではないか?
それに、“ゆうき”が本当に未来から来たのだとすれば、昼の噛み合わなかった会話も納得がいくしな。」
朗らかに笑った桂に悠生もやっと小さく笑った。
「桂さんの言うことは最もですが、ここ長州藩邸に子供をおくのは…皆には何と説明するのですか?」
「そうだな…。」
桂は悠生の顔を見た。
「“ゆうき”、茶は煎れれるか?」
「…多分…。」
悠生が小さな声で自信なさげに応えると、桂は満足そうに目を細めた。
「では、今日から“ゆうき”は俺の小姓だ。
それなら問題なかろう。」
自信たっぷりに言い放った桂に幸は困ったような、それでいて嬉しそうな顔をした。
「小姓って何するの?」
「俺の身の回りの世話をしてくれればいいよ。」
「僕にできる?」
「できるさ。」
ニッコリ笑った桂に悠生も笑い返そうとしたが、いまいち上手くいかなかった。
「さ、とりあえず話が一段落したところで休もうか。
今日は二人とも疲れただろうからな。
俺も疲れたし。」
桂は立ち上がった。
「じゃ、お休み。」
「お休みなさいませ。」
「バイバイ。」
部屋から出て行く桂を、悠生は小さく手を振って見送った。
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