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悠生が呆然としていると、少女はまたもや悠生の腕をもの凄い力で引っ張った。 「桂先生がお待ちじゃ。 早うしろ。 お待たせしては申し訳ない。」 悠生は絡まる足を必死に動かして少女に従った。 「失礼致します。」 少女は一つの部屋の前で止まると、膝をつき中に声を掛けた。 ボーっと突っ立っている悠生も襟首を掴んで無理矢理座らせる。 「入りなさい。」 中から桂の声が聞こえた。 少女に手を引かれ(どちらかといえば引きずられ)中に入ると、そこには桂と幸の他に、二人の侍がいた。 「お早う。 奈津、ご苦労だったな。」 「いいえ。」 剛力少女・奈津は先程とは打って変わって、満面の笑みを浮かべた。 「“ゆうき”、彼女は辻村奈津といって俺の小姓をしてもらっている。 これからは彼女と一緒に仕事をするように。 奈津、“ゆうき”のことよろしく頼むよ。」 「承知致しました。」 やはり満面の笑顔である。 「桂さん、この子が先程仰っていた神隠しに遭ったという子供ですか?」 悠生は桂の隣に背筋を伸ばして正座している男に視線をやった。 椿油できっちり整えられた髷。 細い眉に大きな二重の瞼は悠生に現代のジャニーズグループを思い起こさせた。
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