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「“ゆうき”、彼は久坂義助といって俺の同志だ。 そして、こっちが吉田稔麿。」 「事情は聞いてるよ、“ゆうき”君。 ここにいる五人は皆、君の事情を知っているから、何かあったら遠慮なく私達に聞いてくれ。」 稔麿が穏やかな笑みを浮かべて言った。 悠生は少しホッとして頷いた。 元来悠生は明るく人懐っこい性格で、これまで人見知りをした覚えなどなかったが、見知らぬ世界の見知らぬ男達相手では流石の悠生も緊張を強いられていたのだ。 「君が神隠しに遭ったということは、まだこの五人以外は知らない。 他の人は君の事情を知らないからね。 くれぐれも、自分は未来から来たなどと他の人間に話してはいけないよ。 分かったかい?」 桂は諭すように言った。 「分かった。」 何故話してはいけないか、などという細かい理由は分からなかったが、“自分のことを他の人に話してはいけない”ということだけは、とりあえず理解したので素直に頷いておいた。 「しかし桂さん、未来から来たなどとは本当でしょうか。 申し訳ないが、俺にはまだ信じられません。 もしも幕府の間者だったら、それこそ我々の首が飛びますよ。」 久坂は深刻な顔をした。
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