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「洒落た字ですね。 良いではないですか。 流石は桂さんです。」 稔麿が感心したように言った。 奈津が笑顔で睨み付けてきたが、生憎悠生には伝わらなかった。 「名前の漢字が二つあってもいいの?」 悠生は桂から紙を受け取り、しげしげと眺めた。 「桂先生がせっかく考えて下さったんじゃぞ。 有り難く頂戴せぬか。」 奈津が勇むのを桂が窘める。 「未来では改名はしないものなのかい?」 「かいめいって?」 「名を変えることだ。」 久坂が短く説明する。 「できないよ!多分…。」 (※本当はできます) 五人は顔を見合わせた。 「今の時代はできるんだよ。 例えば、この稔麿なんかは、つい最近稔麿と名前を変えたんだ。 以前は皆、栄太郎と呼んでいたんだよ。」 「そうなんだ。 じゃあ、僕も変えていいの?」 「あぁ。 だが、せっかく“ゆうき”のご両親が考えて下さった名だ。 音はそのまま残しておこう。 だから、今この時代を生きている間は“勇希”という漢字を使おう。」 「うん。 分かった!」 勇希は嬉しそうに頷いた。
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