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店を出た二人は仲良く手を繋いで歩いた。 勇希はケンケンをしたり、ピョンピョンと飛び跳ねたりと、遊びながら歩いては奈津にど突かれた。 道のりも半分ほど過ぎた頃、急に奈津が歩みを止めた。 前方を見ると、数人の男達が連れ立ってぞろぞろと歩いて来る。 浅葱色のだんだら羽織。 掲げるのは『誠』の文字。 「凄い!ねぇ、あれってお侍さん?」 勇希は無邪気に問い掛けた。 「黙ってこっちに来い。」 奈津にまたもや首根っこを掴まれ、勇希は建物と建物の間の影に連れ込まれた。 口を塞がれ、男達が通り過ぎるのを待つ。 見ると、町の人々も道を譲り、端に寄っている。 「ねぇ、あの人達って偉い人なの? みんな道を譲ってるよ。」 勇希は目をキラキラさせて言うが、奈津は彼等を忌々しげに睨みつけた。 「偉くなぞない。 ただの乱暴者の集まりじゃ。 わしらの仕事の邪魔ばかりをしよる。」 「悪い人達なの?」 「わしらから見れば厄介なことこの上ない。」 「敵さん?」 「まぁ、そうじゃの。 奴らは壬生浪士組と名乗っちょる会津藩お預かりの人斬り集団じゃ。」
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