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奈津はだんだん声が大きくなっているのに気付いていない。
そして、それを咎める勇希でもない。
「更にっ!
入浴中は誰もが素っ裸になり、武器は何も持ってはいないっ!
だからわしはこうして、桂先生が入浴中に襲われるなどという事態にならぬよう、常に護衛しておるのじゃっ!
分かったか。
決してやましい気持ちからではないぞっ!」
奈津のマシンガントークに勇希は目を白黒させた。
奈津は再び中を覗き込み、にやける顔を隠そうともしない。
そんな奈津の襟首を後から追ってきた稔麿が掴んだ。
「むしろお前に襲われそうで怖いよ。」
「何を言うかっ!
わしが桂先生を襲うなどと、そんな恐れ多い事などするはずがないじゃろうっ!」
「君の日頃の変態っぷりを見ていれば、嫌でも疑わざるをえないよ。」
稔麿は溜め息を吐いた。
その光景を呆然と見ている勇希の頭上から突然声が降ってきた。
「随分賑やかだね。」
見上げると入浴中の桂が窓から顔だけを覗かせていた。
「ぎゃーっ!
桂先生っ!
そんな麗しいお姿をわしに見せないで下さいっ!
鼻血出そうっ!」
桂は引きつった笑顔を浮かべた。
「そうだ、勇希も一緒に入るか?」
勇希は笑顔で頷いた。
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