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その日悠生は月に一度、町内で行われる公民館の清掃に奈緒子と共に参加していた。
築何十年にもなるボロ公民館はいくら掃除してもちっとも綺麗にはならない。
その上、裏口付近には処分に困った粗大ゴミ達が無造作に棄てられており、今では子ども達のスリリングな遊び場と化していた。
そしてこの日も悠生は掃除をサボり、そのゴミ置き場で一人遊びをしていた。
小さな体で洗濯機によじ登る。
隣の机に飛び移る。
横に倒されたタンスの上に飛び降りる。
その反動で机の上に置かれてあったガラス瓶が割れ、中に入っていた液体が零れ落ちたが、悠生は気にも留めなかった。
悠生はそのままの勢いで地面に着地し、公民館のすぐ隣を流れる用水路の中を覗き込んだ。
その用水路はいつも悠生が友達と一緒にザリガニやらタニシやらを採る場所だった。
悠生は目を凝らしてザリガニを探すが、生憎昨日の雨で水量が増え、その上勢いを増していたためにどうやっても見つけることはできなかった。
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