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(……晋作から!?
今度は何やらかそうとしてるんだ!?
いやいや、すでにもうやらかしたのか!?)
とは、桂の心の叫び声である。
桂の額には明らかに暑さによるものではない、所謂冷や汗というものが浮かんでいる。
そっと手紙を開ける。
中身を一読して、桂は思わず手紙を真っ二つに裂いて叫んだ。
「知るかぁぁぁあああ!!」
勇希はとっさに耳を塞いだ。
桂は大きな溜め息を吐き、机に突っ伏した。
「桂さん、失礼します。」
廊下から声がした。
久坂のものだと分かった桂は、すぐに返事をして部屋に招き入れた。
「どうしたんだい?」
久坂は何やら腕に抱えていた。
「晋作から文が届いたと小耳に挟んだもので。
きっと桂さん、また胃を痛めてると思って胃薬をお持ちしました。」
桂は苦笑した。
「あぁ、その通りだよ。
ありがとう。」
桂は胃薬を受け取り、喉の奥へ一息に流し込んだ。
「で、我らが暴れ牛は一体何をやらかしたんですか?」
「いや……………。」
久坂は無惨な姿の手紙を拾い上げ、さっと目を通した。
「何て書いてあるの?」
勇希の問いに、久坂はニッコリと微笑んだ。
それは勇希に見せた初めての笑顔だったが、誰もが身震いする絶対零度の笑みだった。
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