7/8
前へ
/83ページ
次へ
ゴスッ 勇希と桂はそろって目を瞑った。 「で、今日期限の書類はどうしたんだ?」 「あれ!? 再提出許可はくれないのかい!? 何て無慈悲なんだ!」 「つまり本当にその内容を書いたのか。 さっさと三途の川を渡れ、山田市之允。」 「待て待て待て! その拳を鳩尾にねじ込む前に再提出許可を求むっ!!」 山田は勇希を押しのけて桂の背に隠れた。 悲しいかな、横も縦も小人属性の山田は縦にやたらとデカい桂の背中にすっぽり収まった。 「良いだろう。 現世居住権と引き替えにな。」 「死ねってか? え?僕に死ねってか?」 「「えぇっ!?死ぬのぉ!? ダメだよ!!」」 勇希と桂の声がハモった。 「死にません!! でも、桂さん!! 僕に今一度現世に留まる権利をくださいっ!! 念のためっ!!」 久坂なら凶悪な笑顔でやりかねない。 なにせ久坂はあの長州の暴れ牛・鬼畜大魔王高杉晋作の相方である。 この二人は松下村塾時代に共に学び合った仲であった。 「市、悪いけどそれは…。 お寺に行って僧侶か尼に頼まないと…。」 桂はいたって真面目である。 「え?何? 僕、呪い殺される予定?」 山田の呟きは勇希を含め、その場の全員にスルーされた。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

362人が本棚に入れています
本棚に追加