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勇希は零れ落ちそうになる涙を必死に堪えた。 「………ここどこ?」 辺りを見回すが、まるで見覚えがない。 「奈津さん?」 呼んでみるが、もちろん返事はない。 「どうしよう…。」 完全に自分が迷子であると悟ってしまった勇希はポロポロと大粒の涙を流し始めた。 「うわぁぁああんっ!!」 泣きながらヨロヨロと歩くが誰も助けてはくれない。 遂に勇希はその場にヘタリと座りこんだ。 「うぅ…っえぐ…。」 泣き疲れて少々過呼吸気味になりながら、勇希は膝に顔を埋めた。 どれくらいそうしていただろう。 ポンポンと肩を叩かれた。 「!!かつ…。」 てっきり桂が迎えに来たのだと都合良く考えた勇希は、顔を上げた先にいた見知らぬ男に目に見えて落胆した。 「どうしたんだい? こんな所で。 迷子?」 優しく話し掛けてくる男に勇希は少し安心して、正直にコクリと頷いた。 「家がどこか分からないのかい?」 コクリ。 「そうか…。 それは困ったなぁ。 もうじき日が沈んでしまう。 明日になったら私が一緒にご両親を探してあげるから、とりあえず今日は私の家においで。」 優しい笑顔を浮かべる男が差し伸べた手に、勇希は躊躇いながらも小さな手を重ねた。
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