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山南敬助と名乗った青年に手を引かれ、勇希は『壬生浪士組』と看板が掲げられている門をくぐった。
「あっ、山南さん!!
どこ行ってたんですかぁ!!
今まで皆、蔵の掃除していたんですよぉ!!
あれ?その子は?」
まだ若い青年が無邪気に駆け寄ってきた。
「ちょっと迷子を見つけてね。
もう日が沈むから、明日家を探してあげようと思って。」
「へぇ~、何か山南さんらしいですね。
私は沖田総司。
よろしく。」
沖田は勇希の目線に合わせてニッコリ笑った。
「僕、秋山勇希って言うの。
勇希はこういう字。」
勇希は最近覚えた字を地面に人差し指で書いた。
「近藤さんと同じ字を書くんだね。」
山南が言った。
「誰?」
「うちの大将だよ。
まぁ私の父親みたいな人かな。
こっちにいるよ!」
沖田は勇希の手を強引にグイグイ引っ張った。
「ほら、あれだよ!
あの厳つい顔の人!」
沖田は更に引っ張る。
「いでででっ!!」
勇希の抗議の声など全く耳に入っていない。
「近藤さぁんっ!!」
「いたたたっ!!
腕抜けちゃうっ!!」
更にスピードを上げた沖田に勇希の腕はいよいよ本気で悲鳴を上げた。
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