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「どうした総司?」 口が大きく、精悍な顔付きの青年が笑顔で振り向いた。 「近藤さん、近藤さん。 山南さんが迷子の勇希君を連れてきたんです!!」 近藤は口を大きく開けて笑った。 「そうかそうか。 勇希君というのだな? 私は近藤勇という。」 力強い近藤の手のひらは勇希の頭をスッポリ包んだ。 「勇希君は近藤さんと同じ字を書くそうですよ。」 後から追ってきた山南がやんわりと言った。 「そうなのか!! さぞ勇ましい子なのだろうなぁ!!」 勇希は照れ笑いをした。 「おい近藤さん。 誰だ、そのガキは。」 全身を黒い着物で包んだ青年が鋭い目つきで勇希を射る。 「ちょっと土方さん。 そんなに睨んだら勇希君が怖がっちゃうじゃないですかぁ。 勇希君、あのオジサンは土方歳三っていう人だよ。」 「誰がオジサンだ。」 「僕、秋山勇希って言うの! オジサンッ!」 「だから誰がオジサンだっ! クソガキッ!! だいたい迷子なら連れてく場所が違ぇだろうが! 奉行所に連れてけよっ!」 土方は怒鳴る。 「オジサン怖い。」 勇希は沖田の後ろに隠れた。
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