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「おい、平助!」
土方が奥にある蔵に向かって声を張り上げると、一人の青年が駆け寄ってきた。
「平助、お前このガキを奉行所に連れていけ。
それか、さっさと家を探してやれ。」
それに沖田が異議を唱えた。
「もぅ、どうしてそんなに勇希君を追い出そうとするんですかぁ?
可哀想じゃないですかぁ!!
まだこぉんなに小さいのに。」
「そうだぞ、歳。
いいじゃないか、一日や二日くらい。」
「ここはガキのいるところじゃねぇっつってんだよっ!!」
「だから、どうしてそんなに追い出そうとするんですか!
土方さんに迷惑が掛からなければ別にいいでしょう?」
「そういう問題じゃねぇんだよっ!」
沖田と土方の不毛な争いを目尻に勇希は縁側に置いてあった古びたゴツイ鍵を弄った。
「あぁ!!
分かったっ!!」
突然沖田が声を張り上げた。
その声にその場の全員が顔を上げる。
「土方さん、何かやましい事があるんでしょう!?
だから勇希君をここから追い出したいんだっ!」
「はぁ!?
お前何言って…。」
「きっと隠し子なんですよ!」
沖田が土方を指差して言った。
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