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一方その頃、仕事から帰ってきた桂達は奈津に勇希がいなくなった事を聞き、必死に探していた。
この頃の京の街は、各地からの浪人で溢れかえっており、最悪に治安が悪かった。
そのために設立されたのが、京都守護職である。
京都守護職には会津藩主である松平容保が就任しており、壬生浪士組もその配下である。
そのような状態の京の街に子供一人放り出して、無事で済むとも限らない。
ただでさえ勇希はこの時代のことなどまだ何も知らないのだ。
早く見つけ出さねば勇希の身が危ないだろう。
「桂先生、本当に申し訳ない。
わしが付いちょりながら…。」
「仕方ないよ。
それより、見失ったのはこの辺りかい?」
「はい。」
桂と奈津、そして稔麿は、昼間勇希と奈津が来た和菓子屋の前にいた。
「子供の足です。
まだそう遠くには行ってないと思うのですが。」
「じゃあ、わしはこの辺りの住人に勇希を見かけなかったか聞いて回ります。」
「頼む。
稔麿、俺達も手分けして探そう。」
「はい。」
奈津が近くの店に入って行き、桂と稔麿も一歩を踏み出した時。
「おい。」
桂の肩が背後から何者かによって掴まれた。
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