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奈津が地獄の底から這い上がって来たかのような声で男に尋ねた。
「その手の物はなんじゃぁ~?
誰を無理矢理犯すって~?」
奈津からはドス黒いオーラが放出されている。
「性奴隷にするならこっちの稔麿にしろ。
そんな人間よりも豚に近い構造をした顔で桂さんを男色の相手にするなど…身の程を知れ!」
「ちょっと待て!!!」
辺りに緊迫した空気が流れる。
二人は同時に大刀を抜いた。
男が先に一歩を踏み出した。
大きく振りかぶる。
奈津はスッとその懐に飛び込み、刀の峰で男の腹を力の限り強打した。
「うげぇ。」と男はカエルの潰れたような声を出し、その場に沈んだ。
「ふん、ちょろいのぅ。
桂先生。
大丈夫でしたか!?」
「あぁ、大丈夫だ。
ありがとう。」
腰の辺りにギュッと抱きついてくる奈津の頭をよしよしと撫でる。
「桂先生がご無事で何よりじゃ。」
奈津は嬉しそうに呟いて、桂の腰に回した腕の力を更に強めた。
「うん。
奈津、ありがとう。
嬉しいんだけどな、その…もうちょっと力を抜いてくれ。
胃から何か出てきそう…。」
「ギャァァァスッ!!」
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